報告の質をあげるには

シージというゲーム、だけに限らないけど、報告は大事である。


では、なぜ報告が大事なのか考えたことはあるだろうか?
大雑把に分けて、3つの理由が考えられる。


①自分の視点から得られるもの以外の情報が得られる
②考え方や意図を共有することができる
③雰囲気を変えたり、よくしたりすることができる

 

1つ目は、精度の違いはあれど、できている人は多い。
2つ目は、一緒にやってる人の中でちゃんとできている人は滅多にいない。
3つ目は技術云々の話ではなく人格の話にもなってくる。
今回は、1つ目の精度を上げるため、そして2つ目ができるようになるためのポイントについて記事にしてみた。

 

なお、割とわかりにくい内容になった自信があるので、結論だけ見たい方は一番下に飛んでくれて構わない。

 

 

さっそく本題に入っていくが、報告の質を上げるためにはどうすればよいか。
それは、以下のポイントに気を付けた内容とすることである。

 

『今から自分がしようとしてること』

『そこに組み合わせて味方にして欲しいこと』
or
『その行動で味方に及ぼす利害の確認』

 

これだけだとわかりにくいと思うので、具体例を交えながら説明していく。

 

①味方の後ろをロックしていたが、ドローンを回したくなったとき
×「ごめん、ロック外した」
〇「ドローン回すから一時的にロック外すよ、大丈夫?」

 

ロックを外すと、味方の警戒しないといけない方向は増えてしまう。
そういった状況を突然作るのではなく、前もって伝えることで準備できるような時間を作る。
状況によってはまだロックを続けておいた方がいい場面もあるので、一方的な内容にせず許可をとるようにするとなおよい。

 

②銀行地下攻めでプラントを通すために、ニトロを投げる防衛を阻害したいとき
×「ハッチ降りた、1枚やった! プラントして!」
〇「プラント通したいからハッチ降りて赤通路荒らすね。残り時間30秒のタイミングで合わせよう」


味方に伝わる状況が突然すぎて、対応が大きく遅れる。
位置情報もないため、どこで何が起こっているかわからずためらいも生まれる。
1枚倒せたから不利な状況にはならないかもしれないが、もしその勝負に負けていれば枚数を1枚失っただけ。
事前に行動を伝えておくことで、要所の状態がどうなっているか味方が把握しやすい。
仮に勝負に負けたとしても、その騒動の間にプラントを通したりと、発生したイベントを有効活用できる。


③遊撃から帰ってきて敵の主導隊の裏を取れそうなとき
×「裏取りで2枚やった!」
〇「あと20秒くらいで裏取れるから現地で耐える方向でお願い。ピーク控えめでいいよ。突っ込んで来そうになったら教えて」

 

だいたいさっきと一緒。
2枚倒したという結果がついてきてるからよく聞こえるが、この情報だと味方に伝わっている内容はほとんどない。
今回は、自分の行動内容と、そのタイミングを事前に伝えることによって、起こり得る展開を予測することができる。
或いは、そのサポートまで行えるかもしれない。
また、行動だけでなく味方にやってほしいことも伝えているため、現地の負担や迷いを軽減することができる。

 

④ドローンを回すとき
×「………………………あ、敵いる! 伏せってる! NE角!」
〇「今から△△の部屋回すね。□□さんちょっと待ってて。入口付近なし、角待ちなし、奥の通路なし。□□さんその入口から入っていいよ、次☆☆の部屋にドローン入れるね。…ん、なんか音がする。敵いるかも、警戒して。……あ、敵いる! 伏せってる! NE角! 」

 

いきなり敵の居場所をいわれても、よっぽどドローンとの距離が近くない限り反応することは不可能だ。
ライブドローンとは言えど、ドローンと人との距離はある程度開けて、事前に情報が欲しいだろう。
そんなときに、これからどこを回すのか、どこを探したのか、入っていいのか、そういった情報を伝えてあげると、味方は安心して前に進むことができる。
準備ができてる分、突然敵の居場所を伝えられても反応しやすい状態にあるだろう。

 

以上4つのパターンに共通しているのは、『事後報告』ではなく、『事前報告』であるということ。
『事前報告』を心がけることで、チームとしての質をあげることができる。
ただし、注意して欲しいのは、全てが全て『事前報告』にする必要はないということ。
『事前報告』を行うときは、自分の行動が味方に影響するときに絞ってよい。
影響度の少ない行動であれば、むしろ言わなくても良いくらいだ。
例を上げると、以下のような内容だろう。
×「外カメラ壊すよー、壊した」
〇「……」
この報告から味方が得られる情報はあるかもしれないが、準備するようなことは特にない。
後述する内容になるが、『ノイズ』にならないように、黙って壊しておくのがベターだろう。


では改めて、『事前報告』が何故チームの質を上げるのかを説明する。

 

報告を受ける側になったときに、欲しい情報とはいったいどんな内容だろうか。
状況によって代わるというのは正解で、しかしそれでは説明にキリがないので、だいたいどの場面においても正解になりそうな言葉を選ばせていただこう。
「有益」で、「具体的」な、「鮮度の高い」情報というのが、それに当てはまる。

 

一つずつ見ていこう。

 

有益な情報とは一体何だろうか。
これも場面によるが、以下のようなものが有益だという条件を満たしているだろう。
・次の行動を決め得る、指針となる情報
例えば、遊撃の居場所を見つけ、味方の配置的に囲んで倒せそうだという情報
・緊急度の高い、対応すべき情報
例えば、現地に詰めようとしていたタイミングで、裏取りが来ているという情報
・自分達が得をする、決定的な情報
例えば、現地に1人しか防衛がいなくて、一気に詰めれば拠点を制圧できそうだという情報。
これらのような、勝ち負けを左右し得る情報というのが有益な情報にあたる。

 

次に、具体的な情報とはなんだろうか。
これは先ほどのように、不正解例と正解例を提示して見比べてみよう。

 

①ドローンを回すと餅つきがいないという情報が分かり、テルミットの補強壁を壊してほしいとき
×今壁割れる!全部割って!
〇ドローン回したけどバンディット餅ついてないよ。開けたところロックしてるから右も左も両方割っちゃってね。

 

②ドローンを回すと入り口の右で敵が待ち構えていたとき
×敵いる! 右! やれる!
〇目の前の扉のすぐ右側でしゃがんで角待ちしてるわ。ドローンで見過ごした振りするから決め撃ちしながら入って。

 

これで具体的というのはなんとなく伝わるだろうが、まだピンと来ない場合は、味方が安心して、自信を持って動けるような報告を心がけるとよい。
できればそこに自分の行動や方針を付け足して、合わせて動きやすいような状況を作るともっとよい。

 

鮮度の高い、というのは、なんかそれっぽい表現が思いつかなかっただけなのだけど、要は、情報は早ければ早い程よいという話になる。
今度はシージから離れて、適当な例で考えてみよう。

 

まずは、地震を伝える情報について。
地震で家が崩れた!
→手遅れ
地震だ!
→だいたい手遅れだがなんとかなる可能性もある
③あと30秒で地震が来る!
→事前に脱出できる
④地層調査チームの研究によると1ヶ月後に地震が来ます
→耐震用や避難用の道具を購入し、備えられる

 

次に、宝くじが当たったという情報について。
①宝くじ当たってもう全部使った
→ふざけんな
②宝くじ当たった
→奢れ!
③この宝くじ当たるよ
→ほんとか?
④俺未来を1度だけ見通せる能力があるからわかるんだ。この宝くじ当たるよ
→まずはこいつをなんとかして葬り、宝くじを自分のものとしてやろう。そのためには事前に…

 

何を言ってるんだこいつはと思ったかもしれないが、本当にこういう話なのだ。
予めの情報が伝われば、発生するイベントに対して準備ができる。
最も自分が得をする、或いは損をしない行動を選択することができる。
さらに信用できるような根拠があれば、安心感が増したり余計な迷いが消える。
これらが「有益」で「具体的」な「鮮度の高い」情報なのである。
そして、それらの要件を満たした情報を伝えるための報告が、『事前報告』となるのだ。


では、そんな事前報告ができるようになるためには、どうすればいいのだろうか。
これにはちゃんとしたおススメの練習法がある。


まずは少人数、理想は2人でランクやアンランクに行き、「有益」で、「具体的」な、「鮮度の高い」の情報を、『事前報告』を意識して伝えてみよう。
片方は伝える側、片方は聞く側というように、慣れないうちは役割をはっきり分けてみていいだろう。
交互にできるようになれば、今度は場面ごとにお互い情報を伝えたり聞いたりしてみればよい。
それができるようになってくれば、いつかこう思う時が来るだろう。
「あれ、これフルパよりデュオのほうがランクやりやすくない?」と。
私個人の話になるが、ランクは正直フルパでやるときよりもデュオでやるときの方が勝率が高い。
何故ならば2人の間で精度の高い情報を交換しやすく、方針も決めやすいからである。
そうして3人、最終的にはフルパでこれを行うことができれば理想だが、当然その難易度は跳ね上がる。
2人のときと5人のときの何が違うのか、それは当然、『ノイズ』が増えるからだ。
『ノイズ』というのは、「有益」で「具体的」な「鮮度の高い」情報を、阻害するようなものである。
これは別に、質の低い報告のことをさしているのではない。質の高い報告も、『ノイズ』となってしまう場合があるのだ。
何故ならば、5人が同時に喋るという状況が起こり得るフルパのCVでは、自分にとって有益な情報なのか、それとも別の味方のための情報なのか、それがわからないことが多すぎからだ。
いくら質の高い情報が飛び交っていたとしても、それがちゃんと伝わっていないのであれば、パーティとしての報告の質は低いという話になってしまう。
もしもパーティ内でどうすればいいかわからずに右往左往してる人がいるならば、それは大抵の場合その人が悪いのではなく、パーティとしての報告の質が低くて混乱しているのである。


では、ノイズを消すために、個人としてどういったことを心がけたらよいのか。


まず、何よりも大事なことは、落ち着くことである。
まず、というか、これがこの記事の全てだといってもよい。
今までに上げた〇と×の報告例を見返してほしいが、×と〇、字面で比べても、明らかに〇のほうが落ち着いて報告しているのだ。
落ち着いた報告ができている人は、実は結構少なくて、何も意識していなければたいていの場合、周りの声をかき消してしまような大きな声で、単語のみの報告を行ってしまう。
多分、大事なことを何度も繰り返すように叫ぶという報告方法がよいと思っているからであろう。
それは確かによい報告方法だが、大事じゃないことも繰り返し叫んでる場合が多い。
とりあえず味方に伝えたいことは繰り返せ!叫べ!というやり方は、結果的にノイズを増やすし、それに慣れて何が大事な情報かわからなくなる。
また、そういった報告方法は必要以上に味方を焦らすので、余計なプレッシャーを与えてしまってミスにつながりやすい。
基本的には落ち着いて、相手にしっかりとやりたい事ややってほしいことを伝えよう。
何度も繰り返さずとも、一度で伝わるのでスマートだし、認識ミスも減る。
そして緊急時のみ繰り返しアラートを行って、意図的に報告方法を変えることで、内容理解の前に緊急事態だという事実を伝えやすい。


落ち着く以外に意識するとよいのは、一方的な投げかけではなく、会話になるような問いかけにするということだろうか。
これしろ!あれしろ!って言われ続けている人は、その情報がちゃんと全部入ってきてるかっていうとだいたいそんなことはない。
何故なら、プレーヤーはロボットではなく、人間だからだ。
永遠に聞いてるだけでは思考が回らず、1つか2つ、あるいはそれ以上の聞きこぼしをしてしまう。
結果、○○って言ったじゃん!みたいな軋轢が生まれるが、あれは決して聞き漏らした側のみの非ではないのだ。
報告に対して返事を強要して意思疎通ができてることを確認しようとしているパーティを見かけるが、あれも実は期待通りの結果を得られない。
何故なら、中身を聞いてなくても返事なんて簡単にできるからだ。
こういった一方的な投げかけを行ってしまっている人は、伝えている内容が味方にとって「有益」な情報だと決めつけている。
もちろん事前の共通認識などがはっきり決まっている場合は、有益な情報を選んで投げることが出来るかもしれないが、大抵の場合は指示を出したい相手に、どういう情報が欲しいか確認してあげるのがいいだろう。
逆に、指示を貰う側の人間からどう動いたらいい?と問いかければ、ちょっとした打ち合わせで共通認識を作ることができる。
簡単でいいから、擦り合わせの時間を作ってみよう。
それだけで、報告の質が高い人間に、パーティに繋がってくれるはずだ。

 

 

とりあえず書きたいこと書いて文章っぽくしただけで、話がだいぶバラついてしまったので、結論をまとめようと思う。

 

・味方にとって大事になりそうな情報は、『事後報告』より『事前報告』で

・「有益」で「具体的」な「鮮度の高い」情報を

・『ノイズ』を極力減らしつつ

・落ち着いて話して、パーティとしての報告の質を高めよう

 

 

最後に、ここに書いた報告方法は、絶対ではないし、全てでもない。
これはあくまで、こういう報告の仕方もできるようになったらいいねという指針であり、それがもたらす恩恵について机上論で語ったに過ぎない。
実際はもっと短くて早い、つまりは要点に絞った報告が求められる世界だってある。
そこはケースバイケースという言葉を投げるしかないが、できるがやらないのと、できないからやらないのとでは大きな差があるということは間違いない。

 

少なくとも私は、落ち着いた雰囲気で、仲間と意図やタイミングを共有しやすいパーティでシージをするのが一番楽しくて、好きだ。